青森県下北半島の原子力施設

下北半島の原子力施設青森県の下北半島には原子力に関連した施設が多くあります。六ヶ所村の核燃料再処理施設などが知られていますが、そのほかに、東通(ひがしどおり)原子力発電所、建設中の大間(おおま)原子力発電所、かつての原子力船むつの博物館などがあります。先日、これらの施設(正確にはPR施設)を見学に行ってきました。

4回に分けて紹介したいと思います。
内容は以下の目次のとおりです。それぞれ最下部のページ番号をクリックするとそのページに飛ぶことができます。
目次
1.大間原子力発電所
2.原子力船「むつ」と、むつ科学技術館
3.東通原子力発電所、使用済み燃料中間貯蔵施設
4.六ヶ所村と原子燃料サイクル施設
下北の原子力施設

1.大間原子力発電所
北海道から青森県に行くに当たって、原子力施設のほか、大間のマグロや恐山や三内丸山遺跡を見たかったので、現地の足を考えて車で出かけました。函館からフェリーで大間へ渡りました。函館から大間までわずか90分です。

青森県下北郡大間町(おおままち)は本州最北端のマグロの町です。函館まで90分で行けますが、近在のむつ市中心部へは車で100分、デパートのある青森市までは4時間かかります。このため、大間町では買い物や病院などで函館へ行く人が多く、函館とのつながりが多いため「函館市字大間町」と言われることがあります。大間で昼食を食べた時、店のTVに映っていたのは函館の放送局で、天気予報は青森でなく北海道の天気でした。まぐろ大間その日はあいにくの天気で見えませんでしたが、本州最北端の大間崎からは津軽海峡を挟んで渡島半島が広がって見え、夜は函館の夜景の光が見えるそうです。

その大間町に新しい原子力発電所の建設が進められています。震災後、しばらく建設が中断されていましたが、2012年10月に再開され、14年6月現在、完成までの進捗率は約5割だそうです。函館市は大間原発の建設凍結を求めて、この4月、国と事業者の電源開発(株)を相手に訴訟を起こしました。自治体がこのような訴訟を起こすのは初めてです。国は、福島の原発事故を踏まえて防災計画や避難計画を定める地域を原発の30km範囲に広げましたが、大間原発は震災前の基準によって認可されたことから、大間原発圏新たに圏内になった北海道の市町村には説明も同意もなく建設が再開されたということです。これによって最も問題になるのは、万が一の事故の場合に函館圏35万人をどうやって避難させるかということです。
青森県内9万人を加えて避難者の規模は原発の中で最大です。しかも道南地域の場合、避難する方法は鉄道か2本の国道を使って北へ逃げるしかなく、道路が渋滞することを考えると短時間で避難する計画を作成することは困難というよりほぼ不可能です。

大間原発の建設再開を許可したのは前民主党政権ですが、国のエネルギー政策の中でこの原発は特別な意味を持っています。プルトニウムをウラン燃料と混ぜたMox燃料だけを使用する世界で初めての原子力発電所なのです。日本は原発で生じた使用済み核燃料を外国に委託して再処理していましたが、そこで生じたプルトニウムや高レベル放射性廃棄物の多くは送り返されて六ヶ所村などに貯蔵されています。プルトニウムを国内でサイクル利用すべく高速増殖炉の実験炉「もんじゅ」の建設が進められましたが、トラブルが多々生じて計画が進んでいないことは皆さんご存じのとおりです。現在、日本のプルトニウム保有量は44トンにも及ぶと言われ、核兵器に利用される可能性もあることからIAEAやアメリカなど国際的に懸念が表明されています。このため、Mox燃料でプルトニウムを消費するとしてプルサーマル計画が始められました。大間原発がMox燃料のみを利用する原発として計画されたのは、このような事情による、いわば国策と言えるものです。

大間原発函館から 函館市が訴訟を起こしたのは反原発からではありません。工藤函館市長は、「十分な説明があり、その結果、市民が将来のエネルギーとして原発を選ぶのならそれも一つの選択」としています。しかし、北海道の住民・自治体に何の説明のないまま、いわば蚊帳の外で大間原発建設が再開され、福島事故の周辺自治体の被害を経験しながら、国策であるから地方は原発を受け入れよ、さらには無理難題の避難計画の作成を押しつける、そういう国と電力会社の姿勢に対して函館市は訴訟をおこしたのです。市議会の中には国のエネルギー政策を支持する議員もありましたが、説明を受けて建設凍結の訴訟は全会一致で可決されました。住民不在の原発政策に対して全国的議論を提起したいと、訴訟は函館地裁ではなく東京地裁に申し立てられました。

今回、下北地方へ行って、原発のエネルギー政策の意味と地域振興の意味のギャップを改めて感じざるを得ませんでした。
大間町は、皆さんもご存じのとおりマグロの一本釣りで有名で、昨年の初競りでは1本1億5000万円の高値を付けたことが有名になり、今はマグロ観光に訪れる人が多く、私が行った時も団体観光バスが来ていました。しかし、町は昔ながらの漁師町風で、道は狭く民家は古いものが多く、町役場も古く狭く、一部の観光みやげ店などを除いてマグロ景気を感じることはできませんでした。そんな中で、大間原発の関連の仕事で働く人が多くなり、町の予算も原発に関連する収入がかなりを占めるようになっているそうです。人口が減少し高齢化が進む地方にとって、原発は確かに大きなカンフル剤です。一つの発電所ができるだけでなく、若い技術者や関連する産業を集め、雇用を増やし町の財政を豊かにし福祉や医療教育などの予算に充てることができます。大間町ではその恩恵を受ける途上を見ることができたように思います。後の回で述べますが、六ヶ所村などはほぼその完成形です。函館市が訴訟を起こす時には、大間町のその辺の事情が理解できるだけに大間町をおもんぱかる意見があったと聞きました。

ただ、大間町の原発に対する対応ですが(このことは書こうか書くまいか迷いましたが)、役場と職員は大間原発について十分に理解していないと感じました。大間原発についての情報を聞きたいと役場へ伺いました。受付で「勉強したいので、大間原発の建設計画とMox燃料に関するパンフレットがあればいただけないでしょうか」と言いますと、向かいの第二庁舎へ案内され、関係者が何人も集まって「あそこに資料があったんでないか」と相談しています。結局、県の資料と原子力の小冊子をいただき、「大間原発の建設状況」という資料をカラーコピーしていただいたことは恐縮しましたが、翌日、別の場所で大間原発建設計画概要という電源開発のパンフレットを入手できました。町の職員が(直の担当者が不在だったのかもしれませんが)こんな知識認識でいいものでしょうか。自分たちの町の将来を左右する施策についてあまりにも認識が少ないのではないかと思ってしまった次第です。なお、大間原発について、ソフトバンクの孫社長が電源開発を買収して建設を止めさせたいという情報もありましたがその話はまた機会がありましたら。 2014.06.26

konnaii について

「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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