続・熊出没 ! 注意 !

またまたご無沙汰してしまいました。
昨年6月、「熊出没!注意!」という雑文を紹介しました。
今年もクマの出没が多いようです。
「熊出没!」の続報です。

今年、秋田では、タケノコ採りに出かけた女性がクマにやられて
亡くなりました。彼女はクマ除けの鈴を2つもぶら下げていたそうです
(どうやら、単調な鈴の音やラジオの音では人の存在をクマに知らせるには
足りなく、人が大声で会話するのが有効なようです)。
北関東では、頭や腕を噛まれながらも何とか命を取り止めた人がいました。
北海道でもクマによる人身事故があり、林道の通行が閉鎖された所があります。

一昨年はドングリが豊作だったため、去年、子グマの数が多くなったと
お伝えしました。
しかし、その去年はドングリが不作だったそうです。
クマの数が増えたのに食料が不作となれば、クマはまた食料を求めて
里に下りて来ることになります。
これが、今年クマの出没が増えた原因の一つです。

里には、畑とか果樹園とか、人の残飯とかおいしい食料場があります。
クマにとって、人間の領分が危険なことは承知でしょうが、
食料が足りないとなれば背に腹は代えられません。

しかも、最近はヒトを怖がらない「新世代グマ」が横行しているといいます。
ヒトに近づいたところで、別に殺されるわけではない、
脅されるわけでもない、逆にヒトの方が逃げて行くではないか、という
若いクマが増えているのだそうです。
かつてなら、人里に近づくクマは鉄砲で脅され殺されました。
しかし、最近はハンターが少なくなり、クマを脅すことすら難しくなって
いるのです。

私たち北海道民にとって、ヒグマが怖いものだということは、
子どものころから教えこまれてきた常識です。
私が小学生の頃、家のすぐ近くの畑にクマの足跡があったと、その足跡を
写し取った絵を見せてくれたクラスメートがいました。大きな足跡でした。
現在でも、秋に車で道を走っていると、「○月○日ヒグマ目撃!注意!」
という看板をよく目にします。

札幌市などによる調査では、札幌市の市街地周辺に現在33頭のヒグマが
生息しているとのことです。
かつて札幌の住宅地にクマが出現して大騒ぎになったことがあります。
つい先日も、市街地に近い観光地・藻岩(もいわ)山でクマが目撃され、
遊歩道と登山道が閉鎖されました。
札幌のような都市でもクマと同居しているのです。

私が東京に勤めていたころ、ヒグマの話をすると
皆さん面白がって聞いてくれました。
「ウソー?」、「本当?」と興味を示してくれるのです。

私が東京に就職する前、出身地の隣町であった事件ですが、
クマが人家に入って、冷蔵庫の中のものを食べたことがありました。
幸い、人の被害はありませんでしたが、クマが家に入り込んで食料を漁り、
冷蔵庫の扉を開けて中の食料を食べたそうです。食べられるもの全て。
しかも、クマは甘い物が好きで、缶入りのジュースを爪で穴を破って
飲んだそうです。
あげく、そこにあった酒の1升瓶を割って全部飲んで
悠々と引き上げたというのです。
家の人は2階に非難してブルブル震えながら一部始終を見ていたそうです。
(今は「クマの入った家」という民宿になっています)。
この話をしたら、東京の皆さんは「冗談だろう?」と言いましたが事実です。

北海道では、今もヒグマによる人身事故が絶ちません。
開拓時代や登山客は、多くの人を犠牲にしたヒグマの襲撃事件がありました。
ヒグマは、そこに食べ物があると知ったり、鉄砲で撃たれて手負いになると
執拗にそこを襲うことがあります。かなり執念深いのです。

怖い話をしましたが、東京の職場では、調子に乗ってあることないこと
話しました。
マンガ映画で見たのだと思いますが、ハチミツを食べたクマを大量のハチが
襲い、クマが手を上げて逃げた跡だけハチがいなかったとか、
人がクマに出会った時、ボクシングスタイルをすると、クマは思わず
立ち上がって同じスタイルをする、
2本足だと速度が遅いのでその間に逃げるという話。
クマは必ず前向きに襲ってくるので、柔道の巴投げで応じるのが
有効だという話。

ところで、アイヌの人たちはヒグマを敬いながら付き合っていました。
「イオマンテ」というアイヌの熊祭りをご存じの方も多いでしょう。
この祭りではクマを矢で射殺しますが、クマを神の世に送り戻す
神聖な儀式です。

アイヌの人たちは、冬ごもりの雪の穴からクマの子どもを1頭だけ捕らえ
飼育します。
どのアイヌの展示施設でも、大抵、チセ(家)の右手(神側)にクマ小屋が
ありますが、実はコタン(集落)で1つだけ。
高床というか、人が見やすい高さでクマを育てます。
それはそれは大事に飼育し、与える食べ物は人以上に上等だったとも
聞きます。
そして、その年を無事に過ごさせてもらったことを感謝し、
秋のイオマンテの祭りでクマを神の世に送り返します。

アイヌの人たちは、全てのものが神の化身(仮の姿)であると信じ、
とりわけ、クマは山の主ですから、最上級の神(カムイ)と思っていました。
クマには畏敬の念で接し、山でばったり出会った時などは
伏して礼をしたそうです。
ただし、ヒトを襲うクマは神の道に反した賊であり、これは
成敗しても構わない。
それ以外は、毛皮を採るなど正当な理由がある時は
儀礼を尽くして狩りに向かう。
アイヌの人たちはヒグマと共存していました。

一方、世界自然遺産「知床」では、今もヒグマとどう共存するか
模索しています。
知床には現在500頭ほどのヒグマがいるといいます。
最近また人とクマの遭遇が増えています。
知床林道ができてから車で往来する観光客が増えました。
観光客は、ヒグマがいるのを見ると車を止めて写真を撮ろうとします。
それも本来なら非常に危険な距離や状態からです。
車の「ヒグマ渋滞」が起きるそうです。危険ですから是非止めてください!

クマに餌をやったり、弁当などの残り物を捨てるのはとても危険な行為です。
クマが人の持っている物がおいしいと知ると、道に現れ、人を
怖がらなくなります。
ついには市街地に現れることもあります。「新世代グマ」を
誘引することになります。

かつて、軽井沢の別荘地にツキノワグマが頻繁に現れたことがありました。
別荘のゴミ箱を漁って食べられるものを探し、ゴミ箱にフタをしても
そのフタを開けることを学習したそうです。

少し前ですが、知床の観光温泉地・斜里町ウトロにヒグマが頻繁に現れ、
街を柵で囲ってクマの侵入を防止したことがありました。
人の方が檻の中なのです。
今は、街や道路に電気柵を設けたり、公益財団法人「知床財団」が
危険のないようパトロールしたりしています。

景勝地・知床五湖には、高さ2mほどの木道を中心にした遊歩道があります。
湿原地などを保護するとともに、間違ってクマと直接遭遇しないためですが、
クマが目撃されると遊歩道は閉鎖されます。

世界自然遺産ですから、むやみにクマを駆除することはできません。
あなたが捨てた残飯や人の臭いのする物がクマを引き寄せるかもしれません。
そうした行為をしないよう是非お願いします。
人とクマはどうやって安全に共存できるでしょうか。
その検証地・実験地の一つが知床です。
興味を持たれた方は知床財団のホームページを
ご覧下さい(http://www.shiretoko.or.jp/)。 17/07/06

konnaii について

「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
カテゴリー: 旅行, 未分類, 歴史, 農林業・自然 タグ: , , , , パーマリンク

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