異常気象について考えてみる

今年の夏は各地で記録的な大雨に見まわれました。
広島市や北海道・礼文島では豪雨による土砂災害で痛ましい
人身被害がありました。9月3日、気象庁の異常気象分析検討会は、
今年8月の西日本の雨量と日照(の少なさ)は30年に一度の
「異常気象」であると発表しました。
気象庁の見解はまだいいのですが、近ごろは何かにつけて
異常気象と言われることが多く、何でも異常気象とされることに
私はちょっと違うんじゃないかという思いがあります。
今回は異常気象について考えてみます。

そもそも異常気象とは何でしょうか。
「正常」と考える状態があって、それからはずれることを「異常」というと思います。
気象現象では何が正常で何が異常なのでしょうか。
気象庁では、「異常気象」とは、数十年間に1回程度の現象、
あるいは人が一生の間にまれにしか経験しない現象を指し、
具体的には30年に一回程度で起こる現象と定義しているそうです。
世界的にも、30年に一回程度生じる極値、高温や低温、大雨や少雨、
積雪などをいうそうです。

つまり、30年くらいの気象の平均を正常と考え、それから大きくはずれる
現象を異常としています。なぜ30年なのでしょうか?

ゲリラ豪雨のように毎年発生する現象でもその地域にとっては異常でしょうし、
逆に地球規模で考えれば50年とか100年でもいいように思います。
おそらくは、「人が一生の間にまれにしか経験しない現象」というところに
理由があると思います。一生のうちであまり経験したことがないほどの
気象であれば生活に大きな影響があるでしょうし、災害が生じることが想定されます。
30年というのは、人の寿命や人が感じる年月の長さで決められたのかもしれません
(では長寿化した日本ではどう考えるべきでしょうか)。

しかし、もっと長い歴史を考えれば、その異常気象は過去にも本当に
少なかったのかどうか、という疑問があります。

江戸時代には飢饉の年(冷夏)が何年も続いた記録がありますし、
毎年のように大きな台風があったという異常気象を思わせる文書があります。
どの程度の異常気象だったか正確な検証はできないでしょう。

なにしろ、機器測定による気象観測が始まったのは19世紀初め、
日本では、東京気象台(現気象庁)が観測を始めたのは1875年
(函館気候測量所が最も古く1872年)ですから、ちゃんと比較できるデータの蓄積は
100数十年ほどに過ぎないのです。
仮に、100年に一度の大雨という話が出た場合、
意地悪く「本当ですか?」と聞いてしまいそうです。

最近のTVで、各地の竜巻や雹などが異常気象として映像が伝えられました。
ところが、一部の報道では、
最近はスマホなどで撮影した画像が視聴者から送られるので、
これまでにもあった現象が報道されるようになったのではないか、
という穿った見解を伝えていました。これはあるかもしれません。

気象観測でも、アメダスの観測網が整備されたり、
局地的な雨量や竜巻を測定できるレーダーが配置されて、
これまで観測できなかった地域気象がわかるようになりました。このため、
現象が捉えやすくなり、異常気象と言われることが増えたのではないかと思います。

取り締まりを強めるほど、車のスピード違反の件数が増えるのと似ています。
確かに、私も経験した北関東の竜巻は、毎年どこかで発生していて
異常ということではありませんでした。

群馬県から茨城県に至る「雷の道」と呼ばれるエリアでは、
夏から秋にかけてよく雷や竜巻や雹が地域を移動しながら起こりました。
しかし、1昨年の筑波山麓で大災害を起こした竜巻は異常気象ではないのでしょうか。

地域的な極値は異常気象とされることは少ないそうです。
竜巻やゲリラ豪雨などは、幅数百メートルから数キロの範囲で起こりますから、
30年に一度と言えるほどのデータが蓄積されていないのだそうです。
ちょっと納得できない感じがあります。

猛暑の夏とか冷夏とか、年によって気象が変わるのは当然です。
これを「自然のゆらぎ」というそうです。
エルニーニョ現象など数年に1回生じる大きな気象変動も「ゆらぎ」の一部です。
そのゆらぎを繰り返しながら、大きな気象のトレンドが進んでいくのだそうです。
今、最も注目されているトレンドは地球温暖化です。

主に人間が産出したCO2などの温室効果ガスが原因と考えられ、
温暖化の影響が数々指摘されるとともに、人が作るガスですから
今後排出量を減らすべきだといろいろ議論されています。

異常気象は、地球温暖化が原因ではないかとよくいわれます。
専門家の話によれば、温暖化が極端な気象を起こす原因になることは考えられ、
暑い日が増えたり寒い日が減ったりしていることは温暖化の影響が高いそうですが、
そのほかの、大雨や渇水や台風の発生や局地的な極端気象などは、
温暖化の影響か自然のゆらぎによるものか判断が困難とのことです
(IPCC第5次評価報告書など)。

何か、「異常気象だ」と言われると妙に納得してしまうことがあるように思って、
考えるところを書いてみました。ヒントにしていただければ幸いです。 2014.09.10

コメント・お問合せをお寄せください

お名前 (ペンネーム可)

メールアドレス (任意、なくてもOK)

題名 (なくてもOK)

メッセージ本文

konnaii について

「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
カテゴリー: サイエンス タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。