愛犬シロの思い出

昔、犬を飼っていました。
スピッツの雑種で名をシロといいました。
私は小さいころから犬が好きで、犬を飼いたいとずっと言っていたのですが、
父が小学校の先生で、学校に近い住宅に住むようになってからは
子供に何か事故があってはいけないと犬を飼うことは許されませんでした。
それでも私はどうしても飼いたくて、こっそり譲ってもらった子犬のシロを
父に隠れて飼おうとしました。

始めの日、風呂場に隠していたつもりだったのですが、
夜中にヒャンヒャン鳴いて、すぐに父にばれてしまいました。
もらってきてしまったのだからしようがないと開き直り、
父に名前を付けて欲しいと頼みました。
「名前を付けるとその犬に愛着が湧く」ということを聞いたからです。

結果、名前はその姿のとおりシロになりました。
私は、テスとか、ペシュとかしゃれた名前を期待したのですが、採用されず、
父の命名権でシロになりました。父はその後シロの面倒を結構見てくれました。

シロはやんちゃな犬でした。
全く言うことをききません。「お手」とかも仕込んだのですが、
そんなことはどこ吹く風、我関せず、つきあいでやってやるという性格です。
私はシロを怒りつけることも多かったですが、何より飼いたかった犬、可愛かったです。

父との約束上、家の外で鎖につないで飼っていました(それが普通でした)。
同級生に手伝ってもらって木材と屋根はスレートで犬小屋を作りました。
冬の吹雪の時、犬小屋はすっぽり雪に覆われました。
雪から掘り出すと、小屋の中からシロがひゃんと叫びながら飛びついてきました。

散歩の時は、田舎ですから周りに人がいないとリードをはずしてやるのですが、
するともう自由奔放、走り回ったあげく、見えるところからいなくなり、
夕方まで帰って来ないことがありました。

私は毎年、元旦の初日を見るために山にスキーを持ってシロを連れて行っていました。
その時シロにリードは着けず、ついて来いとだけ言いました。
年によってものすごく寒い年があり、シロは足に雪玉を付けながらついてきました。
ある寒い元旦、突然シロがいなくなりました。どうしたんだろうと思って家に帰ると、
シロが小屋の中で寒さで震えていました。可哀想なことをしました。
でも、シロは私のことが好きで、私が怒るとシュンとする表情がまた可愛かったです。

そのシロに私が嫌われたことが一回だけあります。
私が高校に入学して下宿生活になり1週間ほどして帰省した時です。
私が「シロ」と声をかけても、フンとばかり向こうを向いて相手をしてくれません。
コイツしばらく会わなかったからすねたかと思いました。

ところが、その1週間後に再び帰省した時は、私が遠くから家に近づくのを察して、
もうキャンキャン大声で鳴いてしっぽをちぎれんばかりに振って歓迎してくれました。
私は家に入いる前にシロのところへ行って思わず抱きしめました。
それ以来、シロは私が帰省して家に近づくと、キャンキャン予報のように鳴きました。
母の話では、シロの声を聞いて私が着いたのを知ったそうです。
犬は臭覚が鋭いと言いますが、200m以上離れたところから鳴くのですよ。

シロは、水に入るのと車に乗るのが嫌いでした。
水が嫌いなのは、たぶん、もらってきた時にお湯で洗ってやったことが
トラウマになったのではないかと思います。川辺に散歩に連れて行くことが
多かったのですが、決して足より深く川に入ることはありませんでした。

車の方はわかりません。臭いがイヤだったのでしょうか。
ある年、父が転勤になり、引っ越しでどうしてもシロを車に
乗せなければなりませんでした。
私が抱きかかえて車に乗せたのですが、シロも何かを感じたのでしょう、
素直に車に乗りました。途中、シロが震えだしたので車を止めて降ろしたところ、  
ずいぶん長い時間、放尿しました。

シロの好物について話します。
普通は残飯と味噌汁の残りを与えていました(当時ドッグフードはありません)。
冬になると、食べ残しがカチンカチンに氷っていました。
骨付き肉の食べ残しとカマボコの板がシロの大好物でした。
もう、ボロボロになるまで食べ尽くします。これがカマボコの板だったのかと
思うくらいです。
散歩に連れていった時にシロが食べる野草が2種類だけありました。
ワスレナグサとコンフリーです。これは葉っぱだけ取ってきて与えてもバクバク食べました。
理由はわかりませんが、自分の体に必要なものがわかっていたのかもしれません。

その後、私は大学に進学し、帰省する機会が少なくなりました。
それでも、シロは私が帰るたびに例のキャンキャンで迎えてくれました。
シロの世話は母がやってくれていましたが、シロは12年生きて生涯を閉じました。
静かな臨終だったそうです。今は故郷を見下ろす丘に埋葬されています。 2015/03/27

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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