御嶽山噴火

9月27日、御嶽山が噴火しました。多くの登山者が亡くなり、
今も不明の方がいるようです。痛ましいことです。
たまたま、紅葉の行楽時期と土曜日曜で登山者が多かったためでしょう。
火山がその時を選んで噴火するわけではありませんが、
結果多くの被害者が出てしまいました。

私は名古屋にいたことがありますので、御嶽山にはいくつか思いがあります。
1979年、御嶽山が今回と同じ水蒸気噴火を起こしました。
御嶽山は、それまで約5000年間火山活動が見られないとされ、
人類史上活動が確認されない「死火山」と言われていました。
当時火山には、活火山、休火山、死火山の区分があり、
活動をすでに止めた火山が死火山で御嶽山はその代表格と言われていました。
ちなみに富士山は江戸時代に噴火しているので休火山でした。

御嶽山は5000年を経て突然火山活動を再開しました。
それを機会に、休火山、死火山という言い方が教科書やメディアから無くなりました。
私がこれを覚えているのは、当時親しくしてもらった地質屋さんが、
御岳山噴火を聞いて、「そうだよなあ、自分たちが経験していないからといって、
人間の時間尺度で自然は測れないんだよなあ」としみじみ言ったことからです。

今回の御岳噴火で難を逃れたある人がテレビにこう言っていました。
「御嶽山は噴火をするような火山だとは全く思っていなかった」。
観光で入山した人であれば、たまたま噴火に遭ってしまったことが不運でしょう。
でも、活動している活火山であるくらいの認識は必要なかったでしょうか。

木曽節で御岳山は次のように歌われます。
「木曽のなあ~、なかのりさん、木曽の御岳なんじゃらほい。夏でも寒い、ヨイヨイヨイ」。
中乗りとは、木曽川で材木を筏に組んで流れ下ろす船頭のことといいます。
御嶽山の広い山麓は木曽ヒノキをはじめ木曽五木など名木の産地です。
御嶽山は夏でも寒いといいますが、標高3000mを超える高峰ですから気温は低く、
スキー場があり、高山植物の宝庫です。高峰のわりにはアクセス性がよく、
私も中腹まで車で連れて行ってもらったことがあります。年間3万人以上の登山者が
いるといいますから、このたびの災害に遭われた方は全くの不幸としか言いようがありません。

そこで、メディアは例によって、予知することはできなかったのか、
行政はどう対応していたのかと詰め寄ります。
水蒸気噴火を予測することが困難なのはそのとおりでしょう。
しかし、9月上旬に火山性地震が多く観測され、このことで注意を
発表できなかったのかと指摘されます。

それが続いていれば地元も何らかの注意を発していたと思います。
しかし、その後、地震の数は平常に近いほど少なくなり、それからいきなり
噴火となってしまったのです。気象庁にしろ、地元市町村にしろ
(この地震の情報は市町村も共有していたそうです)、注意報などを出すことには
どうしても躊躇してしまいます。注意などを出せば、登山客や宿泊施設や観光業界など
ダメージを与えかねず、もし、空振りになれば誰が賠償してくれんねん、と
なりかねないからです。

そこで引き合いに出されるのが、2000年の有珠山噴火です。
この時は、噴火の3日前に気象庁から緊急火山情報が出され
(噴火前に情報が出されたのはこれが初めてです)、
1市2町、約1万6000人の住民が避難して1人の怪我人も出すことがありませんでした。

当時、警報を発した北大地震火山研究観測センターの岡田弘教授はこう言っています。
「有珠山は、非常に素直で正直な火山なので、これまでの噴火記録から、
噴火の前には必ず火山性地震を伴うことがわかっていました。
それで、様々な観測結果から、今後144時間以内に噴火が起きると予報したわけです。
ほかの火山でも同じことができるとは限りません」。

それでも、1人の人命を損なうことなく非難できたのですから、
岡田教授に感謝する気持ちは、洞爺湖ビジターセンター・火山科学館の展示に
満ち満ちています。機会がありましたら一度ご覧ください。

加えて、周囲の市町村では、火山の恩恵で温泉や観光が成り立っている、
火山の危険性とは背中合わせだ、約30年に一度ずつ噴火を経験している、
どこにどうやって逃げればいいか、子どもたちへの教育を含めて
準備済みだ、という環境もあったと思います。

岡田教授の場合は特別かもしれません。火山の特性を十分に承知し、
観測データからこの山は噴火が間近いと判断することができたのです。
ほかの火山でも応用できるとは限りません。しかし、なんでも、
危険火山一つごとにそういった観測マイスターがいると聞きました。
それが公的なものかどうかは知りません。個々の火山ごとに詳しい方が
噴火の予知なり予報なりに活躍していただくことを期待します。

飲み屋でこの話になって、ある関西出身のお客さんが言いました。
「私は函館に赴任した時、大沼(駒ヶ岳)に登りたいと思うたんですが、
いつも入山規制やいうて登れしません。目の前にあるきれいな山に
何で登れまへんねん」。正直なご意見だと思います。
私の故郷に近い雌阿寒岳でも同じ入山規制が繰り返し行われています。
観光客、登山者が大事か、行政による入山規制が必要か、難しい判断だと思います。 2014.10.04

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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