北海道新幹線についてのいくつかの噂

先日、北海道新幹線の新車両が公開され、このほど試験走行が始まりました。
2016年3月から新青森-新函館北斗間で運行が始まる予定です。
北海道民が待望していた新幹線ですが、札幌まで開通するのは
まだ20年先になりそうです。
その他にもいくつか問題点が指摘されていますので、
北海道新幹線にまつわるその辺の噂を紹介したいと思います。

 

書いているうちにまたまた長くなってしまいましたので
目次と内容を示します。どうぞお好きなところをご覧下さい。
 1.青函トンネルの問題 -在来線と併走、速度制限
 2.鉄建公団の亡霊 -もう一つの低速の理由
 3.「新函館北斗」というダサい駅名
 4.新幹線開業と在来線の廃止

1.青函トンネルの問題 -在来線と併走、速度制限

北海道新幹線でまず問題になるのは青函トンネルです。
本州と北海道を陸続きで結ぶ路線として待ち望まれていた海底トンネルでした。
このトンネルが1988年に開通して、海が荒れた時でも、吹雪の時でも、
人や物を確かに運ぶことができるようになりました。

青函トンネルは、当初から新幹線が通ることを想定して設計されたと
記憶していますが、新幹線が、現在のような高速で走ることや、
在来線と併行して走ることは想定していなかったと思います。
トンネルでは、新幹線のレールと在来線の狭軌を共用する3線軌道になっています。

今、青函トンネルの主要な役割は貨物の輸送です。往復50本もの貨物列車が
運行され、北海道の農漁業産物などを輸送する大動脈になっています。
旅客列車は、特急「白鳥」、寝台特急「北斗星」、「カシオペア」や、
日本で唯一残された夜行急行「はまなす」などがありますが、
新幹線の開通に伴い、電圧が変更されることから寝台特急などは廃止されます。

遅い貨物列車と併走するのですから新幹線の速度は制限され、ダイヤ編成は大変です。
さらに問題になるのは、新幹線が高速で通過するとトンネル内の風圧が高まり、
貨物列車が新幹線と交差する時などは貨物が風圧で倒れてしまう危険があります。
このため、青函トンネル内の新幹線の速度は140~160km/hまで落とします。
現在運行されている新幹線の最高速度は320km/hですからその半分です。

青函トンネルの長区間をこの低速にすると新幹線の高速性が損なわれます。
札幌まで延伸された場合に札幌-東京間の所要時間は5時間以上だそうです。
どうですか? 飛行機なら羽田-新千歳は1時間ちょっとですから、
値段が割安であっても新幹線を利用しようと思いますか?
飛行機を利用するか新幹線を利用するかの分かれ目は、新幹線の所要時間が
4時間を切るかどうかだとよく言われます。
東京-広島、そしてこれから開業する東京-新函館北斗がちょうどそれに当たります。

早く目的地へ行きたい人なら、4時間を超えるか超えないかは大きな問題です。
ビジネスでは1泊の宿泊費が必要かどうかの瀬戸際です。
東京-札幌間の5時間というのは、急ぎの利用には使えないと思います。
まあ、札幌で1泊していただく方がすすきのや北海道経済にはうれしいのですが。

新幹線の高速性と貨物輸送の共存が図れるよう、
JR北海道とJR貨物が協議して、トンネルを新幹線だけが高速で運行できる
時間帯を設けるように話し合っているそうです。知恵の見せ所でしょう。

2.鉄建公団の亡霊 -もう一つの低速の理由

もう一つ北海道新幹線が遅い理由があります。
盛岡より南の新幹線路線はJRの所有だそうですが、それ以北は昔の鉄建公団、
鉄道・運輸機構(独立行政法人 鉄道建設・運輸建設設備交通機構)の
所有だそうで、JRはそれを年何億円も払って借りているのです。
高速で新幹線を運用しようとすれば、その分、より維持管理費が必要だから
賃借料が高くなるそうで、そのため、盛岡以北の新幹線の最高速度は
260km/hに抑えられているのだそうです。
開業当初の東海道新幹線の時速270kmより遅いのですよ!

雪国だから速度を出せないということではなく、賃借料を考えると
スピードを出したくても出せないというわけです。
JRは民間会社ですから、お客さんからの収入と運行にかかる経費を考えます。
東京から運行する10両編成・乗客数770席の大容量をそのまま北海道まで持って
来るのですから、実際の利用客数を想定すれば経費をかけたくないことはわかります。
JRの鉄道・運輸機構への賃借料は国庫に納入されます。税金と同じ歳入です。
その歳入は将来の新幹線の建設・整備に使うとされています。

私はこのことを、この記事を書くための情報を調べる中で知りました。
北海道新幹線のスピードが遅く、札幌-東京間が5時間もかかることの裏には、
昔の、利権体質で悪名高い鉄建公団の亡霊があったとは! もちろん、現在の鉄道・
運輸機構は国の施策に従って業務を行っていてここを悪くいうつもりはありません。
政府が国策として全国の新幹線網整備を計画し、多額の国税も使いますが、
その必要額に応じて新幹線の計画・建設を許認可する。
民間企業としてのJRと国との関係をちょっと考えてしまいました。

そこで思われるのがJR東海のリニア新幹線です。
リニア新幹線は、国の建設許可はもちろん必要ですが、国からいっさい干渉を
受けない自前の建設路線として計画されています。
国から資金援助を受けるとなれば、当然、計画の段階から注文をつけられます。
路線をどうするか、どこに駅を作るか、地元議員の介入を含めて国からいろいろな
注文が出されることは間違いありません。それがやっかいなので、JR東海は
2兆円という巨額の建設経費をすべて自分で賄うことにしました。

一部の人からは、今さら、なぜ新幹線整備なのか、もはやリニアの時代ではないか、
という意見が聞かれます。リニアなら東京-大阪間が1時間の可能性があります。
新幹線が開業した当時、東京-大阪間は3時間10分で、早いと驚いたものでした。

リニアの建設には巨額の投資が必要ですが、東海道新幹線の時もそう言われました。
当時は高度経済成長期で「行け行けどんどん」の時代でしたから現在とは違いますが、
技術革新とか、新時代のインフラとかはそうしたものではないでしょうか。
もっと思い切った科学技術への投資や、ガソリンスタンドに換わる
電気・水素スタンドなど新しいインフラの整備が必要ではないかと思います。

3.「新函館北斗」というダサい駅名

ところで、北海道新幹線で新函館北斗駅に着いても、函館はもう少し先ということを
ご存じですか。函館へは列車を乗り継いで10数分かかります。
新横浜や新神戸と同じで、中心地から離れた所に新幹線の駅があるのです。
「新函館北斗」という駅名のとおり、この駅は函館市ではなく隣の北斗市にあります。

計画当時の仮駅名は「新函館」でした。
なぜこれが「新函館北斗」になったか、私はその経緯を注目して見て来ました。
はっきり言えば北斗市のエゴです。北斗市は駅名を「北斗」にしたいと主張しました。

新幹線は、北斗市を縦断して走りますが函館市は通りません。駅は北斗市にあります。
北斗市は、新幹線の騒音などをすべて引き受けるわりに、
駅名が「新函館」になれば、その名前はいっさい出て来ません。
函館への対抗意識もあり、北斗市は駅名を「北斗」にすることにこだわりました。
函館市が主張する「新函館」と対立して、どちらも全く譲りませんでした。
北海道庁やJR北海道に仲裁を申し入れましたが、どちらも煮えきった回答をしません。
最終的に両者を取って「新函館北斗」となったわけです。

しかし、この駅名のゴロの悪さはどうでしょう。
せめて「函館北斗」ならまだ聞こえはいいのですが、「しんはこだてほくと」となると
誰も馴染める音ではないと思います。たぶん新函館と略称で呼ばれることでしょう。
地元のエゴ丸出しで利用者を度外視した駅名の付け方だと思います。
同様の新幹線の駅名に「岐阜羽島」、「燕三条」があります。
どちらも私は馴染めません。「白石蔵王」ならまだあってもいい駅名かなと思います。

新函館北斗駅は、九州新幹線の八代駅に実に似ていると北海道新聞が報じています。
八代駅は、九州新幹線が鹿児島まで延伸するまでの最終駅で、開発が期待されましたが、
八代市中心部までは少し距離があり、未だに住宅や商工業施設は少なく、
周囲は田園風景が広がっています。
ただし、宮崎など九州各地への長距離バスの拠点になっているそうです。

新函館北斗駅も同様な結果になるのではないかと思っています。
函館や札幌方面へ行きたい人はすぐに乗り継いでここで降りる人は少ないでしょう。
北斗市は、新幹線の駅ができるといって企業誘致を行い、農地の転用をしやすく
しているようですが、果たしてどれほどの企業が来るでしょうか。
高速道路のインターが近いことから、バスの起点になることは十分考えられます。
レンタカーの需要も考えられ、その時にここで1泊という人が多ければいいのですが。

4.新幹線開業と在来線の廃止

話変わって、北海道新幹線ができることで地元の在来線が廃止されます。
江差線です。すでに今年5月、木古内-江差間が廃止されました。
函館・五稜郭駅から木古内までは新幹線の開通に伴って第3セクターになる予定です。
もともと乗客の少ない路線でしたからJRにとっては廃止のいい口実だったでしょう。

北海道はほとんどがこんな路線ばかりです。
JRに民営化されて、経営のために地方線の本数が減る、鉄道の利用が不便になるから
自家用車の利用になる、利用客がますます減って路線はさらに経営の負担になる。
この繰り返しで北海道の鉄道路線はだんだん廃止されてきました。
一番不便を被ったのは、通学の高校生と病院へ通うお年寄りです。

鉄道線の廃止を憂えて「何とかしようや」と活動する人もいますが、
売り上げを高めるには至っておらず、いつ路線が廃止されるか心配している情況です。

私の地元に、かつてJR池北線という路線がありました。
網走地方・北見市と十勝地方・池田町を結ぶ内陸線でしたが、赤字続きで
とうとう廃止されることになりました。JRから第3セクターに経営移転され、
「ふるさと銀河線」として再生したのですが、やはり経営困難で、鉄道自体が
廃止されてもうしばらくになります。
雑草に覆われたレールを見るのは寂しいです。
国道を車で走っていると、無意味な踏切の標識が残っていることがあり、
いつも通っていたので、つい停止しようとしてしまいます。

廃止されたこの路線の一部を活用している町もあります。
日本一寒い町とアピールしている陸別町で、
夏の期間、ここでは自分でディーゼル機関車を運転することができます。
鉄男くん、鉄子ちゃんに大人気で、運転するには予約が必要です。
足踏みの鉄道作業車を運転することもでき、これも面白いです。
ふるさと銀河線が廃止されたことを逆手にとっていい企画だと思います。

いずれ北海道新幹線が札幌へ延伸されれば、廃止や3セクへの移転が
取りざたされる在来線が増えることでしょう。
高速を求める時代の流れや鉄道会社の経営を考えればしかたないのかもしれません。
しかし、鉄道と駅がなくなれば町はさびれていきます。私は北海道のそういう
町を身近にいくつも見てきました。思い出す路線だけでも5つあります。
鉄道はその町にとっての基幹であり、駅は町の中心、みんなが集う拠り所です。
それを自ら放棄しないよう何らかの活動をしたいものです。

最後はグチのようになってしまいましたが、北海道新幹線についての
いくつかの情報です。何かの参考にしていただければ幸いです。 2014.12.12

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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