ユキムシのこと

ユキムシってご存じですか?
北海道では初雪を知らせる虫として馴染まれています。
晩秋の夕方、白いふわふわとしたユキムシが空を舞います。
すると、「おう、雪虫だ、初雪が近いな」などと会話します。
人によっては、「雪の妖精」なんていう人もいますが、実は
害虫のアブラムシの一種です。

北海道民は、ユキムシを見ると初雪が近いことを知ります。
冬の到来を告げる風物詩です。
晩秋の天気のいい日、しかも決まって夕方、
ユキムシの白い大群が空を舞います。
まるでそれ自体が雪が降っているようです。

ところが、やっかいなことにこれが口や目に入るのです。
自転車で走っていようものなら、口や鼻や目に飛び込んで、
いずい(uncomfortable)こと、この上ありません。
蝋のようなものを持っていて、服にこびり付いり、
車を汚してしまったりします。
まあ、そっと吹き払ってやればそれまでのことなのですが。

ほかの地方では、ワタムシと呼ばれることが多く、
井上靖の「しろばんば」もユキムシのことだそうです。

ユキムシは非常に変わった生活環を持っています。
北海道で見られるのはトドノネオオワタムシという種類で、
名前のとおり、トドマツの根に寄生してその樹液を吸って生活しています。
春から秋にかけて何世代かこの生活を続けるのですが、
その間はメスだけでオスはいません。
単為生殖とか処女生殖といって、メスが自分と同じ遺伝子型の
メスを産んで世代を継げます。

そして、3世代目で翅(はね)を持つメスを産みます。
これが晩秋に空中を乱舞するユキムシです。あの集団はすべてメスです。
翅を持つ形態はトドマツからヤチダモに移動するだけの手段です。
ヤチダモに移動してユキムシは始めてオスを産みます。
オスは栄養を取る器官も持たず、寿命は1週間もありません。
移動してメスと交尾すればすぐ死んでしまいます。
遺伝子の配給役としての使命が全てで、いわば使い捨てです。
魚にもこういう例がありますが、オスの使命は遺伝子をほかのメスに
伝え残すということ、ただそれだけなのでしょうか。

メスはヤチダモでただ1個の卵を産んで死にます。
この卵が冬を越して、翌年また同じ生活を繰り返します。
ヤチダモからトドマツへ移動する時には例の乱舞は見えません。

ユキムシの乱舞は北国の冬直前の風物詩で、迷惑なところもありますが、
北海道民には比較的好まれていると思います。
「ユキムシが舞う季節になったな」、というのは北海道のこの季節の
一つの挨拶文句です。 2014.12.04

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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