スベリヒユとポーチュラカ

本ブログの記事「パーニャ・カウダ」(14/07/29)をご覧いただいた方から
コメントと情報をいただきました。

スベリヒユ

スベリヒユ

雑草のスベリヒユが食べることができて結構おいしいですよ、という情報です。
スベリヒユは畑や庭に生えるやっかいな雑草です。コメントをくださった方も、「削っても削っても、雨が降ると根が出てすぐにはびこる」と嘆いておられましたが、スーパーで野菜として売られていることがわかったそうです。
「おひたしで食べてみると、クセもなく美味しいものでした。」ということです。
スベリヒユは、お花屋さんでポーチュラカとして売られるお花でもあります。
私はスベリヒユとポーチュラカに少々縁がありましたので、その話を紹介します。

私が前にいた職場は、植物の新品種の登録をするための
栽培試験を行っていました。
品種登録というのは、新しい植物品種を作った人や会社が
その品種に関する権利を所有できる制度です。
著作権や特許と同様、国際的な知的財産権です。
「私の作った品種が勝手に増やされ売られている」とクレームすることができます。

植物の新しい品種を作ったという人から申請があると、
種や苗を提出してもい、畑や温室で栽培して調査します。
花の大きさ・色・形や、茎や葉や根についても同様に観察・測定し、
写真撮影して特性を記録します。
新しい品種であるかどうか、特性が均一で安定しているかなどを調べます。

10数年前のことですが、ハナスベリヒユの品種が申請されました。
ところが、スベリヒユの申請は初めてで、何をどう調べるか基準がありませんでした。

スベリヒユは、スベリヒユ科スベリヒユ属(Portulaca ポーチュラカ)の植物で、
同じ属にマツバボタンがあります。マツバボタンは既に調査の基準がありましたが、
葉の形からして、マツバボタンは針状、スベリヒユはへら形と一目で違いがわかります。
新しくスベリヒユの調査基準を作ることになり、その案の作成を私が担当することになりました。
パソコンの奥深くから当時の検討資料を引っ張り出したら、
我ながら、いろいろ調べて相談したんだなと思いました。

スベリヒユについてちょっとご紹介します(学名 Portulaca oleracea L.)。
コメントをいただいた方からもご指摘されたように、スベリヒユは非常に厄介な雑草です。
一度、地面を這うその植物が畑や庭に居着いてしまうと駆除することはとても困難です。
生命力が強く、ほんの数ミリの残骸があるだけで再生することができます。
多肉質の葉に水を貯め込んで、乾燥と暑さにはとても強いです。
低温には弱いといわれる一年草です。

スベリヒユを食べる習慣は、台湾や東ヨーロッパで古くからあったようです。
ただし、このスベリヒユは「タチスベリヒユ」という品種で、地面を這う種類ではなく、
立ち上がって高さ50cmにもなるそうです。食用に特化された品種だと思います。
ところが、改めて調べたところ、日本でもスベリヒユを食べているそうです。
山形県では、茹でて食べるほか、乾燥して保存食にする習慣があるといいますし、
沖縄県では、夏の野菜の少ない時期に重宝して食べるといいます。
最近は、新しい野菜として産地がスーパーなどに売り込みをかけているようです。

スベリヒユは薬草でもあります。漢方薬として使われ、
その汁を着けると虫さされに効くとか、服用すると利尿作用があるといい、
解熱、解毒、コレステロールの低減にも良いと言われますが、後ろの方は本当でしょうか。
食べ過ぎると下痢を起こすこともある強いものだそうです。

スベリヒユ2花の方では、ポーチュラカという名前でお花屋さんで売られていて、
花壇の夏の花として定着しています。
タネ(種苗)屋さんの話では、ペチュニアなどに続く
夏向きの定番の商品になっているということです。
雑草のスベリヒユと比べて花が大きく、花色もたくさんあり、
2色咲きや八重咲きなどいろいろな品種があります。

このそれぞれの花は、1日で寿命を終える1日花です。
それが毎日次々と咲き続くことで一夏を彩ります。ところが、
スベリヒユの花は、普通、朝に咲くと午前中あるいは昼過ぎには閉じてしまいます。
1花の寿命は本当に短いのです。

栽培の基準を検討していた当時に実感したことですが、
いつもなら昼過ぎに閉じてしまう花が、室内に持ち込むとどれも夕方まで開いています。
これはどういうことか? もしかして室内の条件でははないか。
自然状態では虫が訪れるので、その刺激で花が閉じてしまうのではないかと思いました。
現在はほぼそのように結論されているようです。

当時はその根拠が全くなかったので、
スベリヒユの調査基準では、花の調査は午前中に行うことにしました。
調査を担当する職員には、いそがしい時は、花を室内に持ち込めば
午後でも調査できるかもよ、とアドバイスしました。
調査基準には「終日咲き性(1日の開花時間が長い性質)」を加えました。
当時の品種の中で、昼遅くまで咲く品種を標準として、それと比べて
新品種と申請されたものがどの程度遅くまで咲くかを判定せよとしたのです。
ところが、さすがに日本のタネ屋さん、終日咲き性の高い品種を次々開発しました。
街の花壇では、色鮮やかなポーチュラカが夕方まで咲いています。
現在の基準では終日咲き性の調査ははきずされています(もっとも、
この形質は判定の基準のあいまいないい加減なものではありました)。

ポーチュラカがこんなに普及するとは思っていませんでした。
雑草と憎んでいた植物がこんなに花が愛されるとは!
栽培担当者に私はこう注意していました。必ずマルチシートをして
調査した後に残った植物体は畑からすべて除去すること。
そうしないと、後の試験の畑に雑草として残ってしまうと思ったからです。
私も、花としてのポーチュラカより雑草のスベリヒユの印象が強かったのです。
2015/01/09

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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