オホーツク海の流氷について

流氷と斜里岳(小) 私のふるさとは、北海道のホーツク海に面した知床・斜里町(しゃりちょう)です。流氷は子供のころからなじみの深いものでした。今でこそ流氷観光などといって、流氷の中を行く観光船が人気を集め、アジアなど外国から見物客が来るほど人気があるようですが、かつて流氷は冬の厄介者で、漁師さんをはじめ住民にとっては迷惑な存在でした。
5月18日、NHKスペシャルで「流氷“大回転“」という番組が放送されました。オホーツク海の流氷に時に巨大な渦が生じることがあり、その渦が、海に魚介類など豊穣な生命をもたらしているというのです。とても興味深い内容でしたので、その紹介を含めてオホーツク海の流氷についてレポートします。

流氷について
まず、流氷についてご紹介します。流氷を実際にご覧になった方は少ないのではないでしょうか。寒い冬の北海道の、さらに寒そうな流氷をわざわざ見に行きたいという方は少ないでしょう。私にとって流氷は冬の日常でした。JR釧網線(網走-釧路)は、網走から斜里までの間オホーツク海沿岸を走りますが、車窓から見る冬のオホーツク海は流氷ばかりでした。

流氷が北海道沿岸に来る1月中旬は、風向きによって氷が沖を行ったり来たりします。氷の見えなかった海が一晩で流氷に覆われることもあり、次の日は遠く沖に去っているということもあります。そうした行ったり来たりを繰り返して、やがて流氷が接岸するとオホーツクの長い真冬が始まります。

流氷が来ると気温がぐんと下がります(海が氷で覆われますから)。風も強くなって、氷の上をわたってくる北風はさらに冷たくなります。海に近い私の祖母の家では、いつもは夜寝る時も海鳴りの音がゴーと聞こえるのですが、流氷が来るとその音がピタリとなくなり、夜はシンと静まりかえります。漁師さんは船を出せなくなり、流氷の間漁業の収入はありません。

流氷は雪原のように平らだと思っている人がいるようですが、それは初期の「ハスの葉氷」のころのことで、氷が接岸すると押し合いへし合いして塊がごろごろ重なった丘のようになります。一つの塊の高さが2m以上あることもあります。反対に氷のごく薄いところがあり、その穴からアザラシが顔を出したりします。一面の厚い氷のように見える流氷原でも、穴があちこちにあって、流氷の上を歩くことは実は非常に危険なのです。

流氷の上を歩く
知床半島のウトロや岩尾別では、昔、学校の教頭先生や郵便局の方が職員の給与を受け取るために毎月網走まで出向いていました。夏は鉄道のある斜里まで馬車で行きますが、冬に流氷に覆われると網走まで歩いて行くことができます。直線距離ではかなり近くなります。皆さん、流氷の上をサオを持って歩いたそうです。何故かというと、氷の薄いところを踏み抜いた時に、サオがつっかい棒になってこれで氷の上までよじ登るためです。流氷の下に落ちると海面が真っ白に見えるそうです。命が助かるためには、黒く見えるところが穴だからそこを目指して上がるように教えられたそうです。

私の学生時代、北海道大学の探検部が、斜里から知床半島を一周、羅臼(らうす)まで流氷の上を歩くという企画をしたことがあります。探検部員の一人とたまたま飲み屋で一緒になってその話になりました。私が、十分な調査をして計画を立ててやるんだろうと聞きますと、彼は、そんなことは必要ない、とにかく体力勝負だと言います。彼はサオを持って歩くことすら知りませんでした。結局、企画は実行されませんでした。

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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