ほっかいどう弁について

秋が深まってきました。
今週は札幌に積雪の予報もあり、北海道は冬に向かってまっしぐらです。
一つ話題を提供します。ほっかいどう弁についてです。
北海道においでいただいたことがある人なら、地名が読めない、
どこにあるのかわからないという経験をお持ちの方が多いと思います。
TVの天気予報で、「胆振(いぶり)地方」とか「後志(しりべし)地方」とか
言われても、読むのもできない、どの方面の地方なのか見当がつかなかったでしょう。
北海道の地名は、ご存じのようにアイヌ語由来の当て漢字の地名が多いです。でも、
ほっかいどう弁に注目していただいた方はいらっしゃらいますでしょうか。
北海道独特のことば、ほっかいどう弁について紹介します。

ほっかいどう弁というと、よく紹介されるのは、
「凍(しば)れる(氷るまたは非常に寒い)」、「ゴミを(捨てるでなく)投げる」、
「手袋をはく(一般には下半身に身に付けることをはくという)」などがあります。
近ごろ、北海道出身の大泉洋などが「なまら、うまいんでないかい」と言いますが、
私は「なまら」は、つい最近まで聞いたことがないほっかいどう弁です。

北海道は、日本各地から人が入植して集まりましたので、
それぞれのお国ことばも多様、ことばのルツボでした。
そのため、共通語として今のほっかいどう弁が成り立ったといわれています。

ほっかいどう弁をいくつか紹介しましょう。

はっちゃきこいて山さ登って、「こわい」と我負(がお)っても、なんも、
あずることないべさ。したっけ、けっぱって、ちょびっとたいしたもんでないかい。
山ば好きなんだわあ。あんばい悪くしないよう、山高いばあんまりおだつんでない。
(和訳、標準弁訳)
本当に努力して山へ登って、疲れて元気がなくなっても、ちっとも
難儀することがない。だから、がんばってちょっとえらいね。
山が好きなんだね。体調が悪くならなよう、山が高ければあまり調子に乗らないでね。
(標準弁で言うと全く味がなくなる)。

「~ば(好き)」、「~だべさ」には、ほっかいどう弁の強さを感じます。
冬の声の大きさと相まって、他県の人から「声が荒い」と言われるわけです。

「あずましい (comfortable)」、「いずい (unfit or uncomfortable )」、
「しょっぱい(塩味を辛いとは言わない)」、「(食べ物などが)しない(硬くて
噛み切れない、イカ・タコのように弾力があって噛みにくい)」などの
ニュアンスは、おそらくほっかいどう弁独特の表現だと思います。

「はんかくさい(バカ))、「たくらんけ(バカ、不調法者)」、「いいふりこき(カッコ付け)」、
「あっぱくさい(年齢程度が低い)」などの悪口もありますが、
ほっかいどう弁の悪口は何か相手に対する暖かみを感じます。

日の言い方は、「しあさって」、「ししあさって」、「やのあさって」は、いつの日のことか、
人によっても違ういい加減な言い方です。「さきおっつい(さきおととい)」と
言う人に会って、これには、ほっかいどう弁精通を自認する私も驚きました。

「トウキミ(トウキビ=トウモロコシ)」、「コバク(小麦)」、
「ショウズ(小豆=アズキ)」、「カイベツ(キャベツ)」、
「風防」(防風林のこと)の「ラクヨウ(落葉松=カラマツ)」などは
祖母がよく使っていたことばですが、北海道農業や仙台出身の祖母を思わせます。

農業では、圃場(ほじょう=水田・畑)、播種(はしゅ=種まき)、
培土(ばいど=土を作物に寄せる作業)など、国から指導された漢字用語が、
おばあちゃんでもごく一般的に使われることがほっかいどう弁の特徴です。
漁業でも鮭鱒(けいそん=サケ・マス)などと言います。

もう少し紹介します。
「~さる」という表現があります。泣かさる、書かさる、笑わさったなどと言います。
思わずそうなるという自発の意味あいですが、
標準弁の泣ける、書けるなどにはない、控えた いいニュアンスの表現だと思います。

「このリンゴは食べるにいい」の「ニイイ」は、食べられるという意味と、あなたが
食べてもいい、あるいは情況により私が食べてもいいかという意味を持っています。
奥深いニュアンスがあり、「~さる」ともに私の好きなほっかいどう弁です。

ほっかいどう弁では、ちゃんと見れ(みろ)、来(こ)いばいい(来ればいい)など
文法の命令形と仮定形が逆転した又は区別しない言い方があります。
ボール蹴れ、出るとこ出れ、~すれ(せよ)、~しれ(せよ)、~せばいい(すればいい)、などです。
私はこの表現を不思議に思っていましたが、ある時、新聞の一文を見て氷解しました。
「見る」の命令形は、東北では「見れ」、関東では「見ろ」、関西では「見よ」です。
北海道では、各地のことばを共通化するに当たって、関東弁は田舎ことばで卑しいという
意識があって、それ(今の標準弁)を避けるようにことばが統一されたというのです。
その過程で、もとより活用の区別がはっきりしない命令形と仮定形を
単純に統合、併用する言い方になったということです。

各地のことばを融合したのに、意外にアイヌ語を取り入れたことばは少ないようです。
地名はアイヌ語由来のものだらけですが、そのほかのことばでは、
シシャモ、ルイベ、トッカリ(アザラシ)、マキリ(小刀)など少数だといいます。
なお、ピリカメノコ(美しい女の子)の「メノコ」はアイヌ語ではなく「女(め)の子」という日本後で、
日本古語→アイヌ語→ほっかいどう弁、ということだそうです。

北海道民が本州のことを「内地」と呼ぶことについて、私は、
北海道はかつての満州のように「外地」か? 沖縄の人が
「本土」と呼ぶ感覚と同じか? と反感を抱いていました。
しかし、今は、沖縄の人が自分たちの文化と対比して「本土」ということがわかり、
北海道も内地とは異なる独特の歴史・文化を形成して、その文化の一つが
ほっかいどう弁ではないか、と考えています。 2014.11.12

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「こんないいオヤジ」 こと 今内祥雅(こんない よしまさ) と申します。 60歳。札幌市で妻と2人暮らし。 元公務員、現在は自営などその日暮らし。 「プロフィール」をご覧ください。
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